夏季のイベントは熱中症が発生しやすい

夏季のイベントは熱中症のリスクが非常に高い状況で行われます。そのため、現場で働く看護師は素早く正確に処置を施せるように準備しておかなければなりません。

夏季のイベントは熱中症が発生しやすい

熱中症が起きやすい環境

熱中症が起きやすい環境

イベント会場には日差しを遮る樹々や構造物が少なく、人も多いので風通しが悪くなります。人々の熱気により体温が上昇し、トイレに行くのが困難なため水分補給も控えめになるなど、あらゆる要因が重なり熱中症のリスクが高い状況です。10年ほど前に行われたとあるコンサートでは、参加者3,000名中36名が熱中症で搬送されたといった事例もあります。
また、夏季はコンサートだけでなくスポーツイベントも頻繁に行われます。運動が伴うので熱中症のリスクも当然ながら高く、日本スポーツ協会の定めるガイドラインにおいては気温の参考値に応じて警戒レベルを区分けするなど、積極的に注意喚起をしています。日本は気温だけでなく湿度も高いので、気候に慣れていない海外のアスリートが熱中症に陥るケースも少なくありません。

救護室がある

救護室がある

大規模なイベントでは会場内に医療救護室が配置されています。熱中症になった人はこの救護室で応急処置を受けて、必要に応じて医療機関に搬送されます。東京が主催する大規模イベントにおけるガイドラインによれば、医療本部の設置に加え、観客席1万席につき医師1名、看護師2名の配置を求めています。救急搬送を行う方法は、イベント主催者と地域の医療機関が連携して体制を整えており、その内容は大きく2つに分けられます。まずは、会場内に救護室を設置し、可能な範囲で応急処置を行った上で医療機関での治療が必要かどうかを判断し、必要な場合に搬送するパターンです。もう1つは、対象者が出た際に担当スタッフから連絡を受け、救命士が現場に向かい状況を判断した上で救急車を要請するパターンです。

当日の対応

当日の対応

屋外で処置を施す場合はなるべく日陰で風通しのいい場所を選びます。熱を発する物や人が多い場所には空調やスポットクーラーを用いて常に冷たい風を送ります。屋外で働くスタッフのために休憩場所を設置して、スポーツ飲料などを配布することも大切です。短時間で交代させ、こまめに休憩を取ってもらう配慮も求められます。スタッフの制服にも配慮して、通気性や光反射性の高い素材を選ばなければなりません。仕事を開始する前の体調確認も怠らず、睡眠不足や体調不良などが見受けられる場合には作業から外します。
また、熱中症の発生に備えて体温・血圧計を準備し、救急搬送可能な医療機関の所在地や連絡先をあらかじめ把握しておきましょう。暑さ指数の予報や気象予報の周知も徹底し、定期的に巡視を行いスタッフや参加者の健康状態をチェックします。