看護師はどう対応すべきか

看護師として患者対応をする際の心得を紹介します。熱中症は重症化のリスクもある危険な疾患です。正確な対応ができるようにあらかじめ学んでおきましょう。

看護師はどう対応すべきか

看護師の視点

看護師の視点

熱中症は夏に発生することが多い疾患ですが、季節や環境で決めつけてはいけません。気温や湿度が高い時期に熱中症のような症状を訴える患者がきたからといって、決めつけて問診や身体所見をすることは避けましょう。体温が高いのは熱中症の症状ではなく感染症などによる発熱かもしれません。疾患が確定するまでは識別診断の1つとして考えてください。
熱中症の疑いが強い場合はバイタルサインや自覚症状の有無などを優先して確認します。基本的に患者本人からの情報を参考にしますが、言語が未発達の乳幼児や意識障害に陥っている患者の場合は付き添いの人から情報を得る必要があります。そこで得た情報は必ず治療に携わるスタッフ全員に共有しましょう。

発症時の環境を確認

発症時の環境を確認

まずは症状が出た際の環境を確認してください。例えば、高齢者は屋内で熱中症になるケースが多いです。エアコンが苦手な高齢者も多く、暑さを我慢し続けて知らず知らずのうちに熱中症が進行していることもあるでしょう。また、屋外での発症は労働作業やスポーツに起因するケースが多いです。作業内容やスポーツの種類、その時の水分摂取状況などを確認しましょう。

危険因子を把握する

危険因子を把握する

高齢者や乳幼児は熱中症になりやすい点を覚えておきましょう。高齢者は体温調節機能が低下しており、重症化のリスクも高いです。乳幼児は上手く汗をかけず体内に熱がこもりやすいといった特徴があります。また、糖尿病や高血圧などの疾患の有無も確認してください。日常的に服用している薬によっては体温調節機能の低下や脱水症状になりやすいといった副作用があるかもしれません。

予防対策の指導

予防対策の指導

熱中症は予防可能な疾患であり、看護師は患者自身が取り組むべき予防対策を指導する役割も担います。自宅で過ごすことが多い患者にはエアコンや扇風機の活用をすすめ、温度・湿度の調整やこまめな水分補給を行うように指導してください。屋外や屋内で活動することが多い患者に対しては涼しい場所での休憩と水分補給を促しましょう。水分補給に関してはカフェインが含まれているものを避け、塩分を含んでいる飲料をすすめます。

スタッフ全員で協力する

スタッフ全員で協力する

熱中症は重症度が高ければ高いほど合併症のリスクが高くなり、最悪の場合命を落とすこともあります。重症化を防ぐためには看護師だけでなくスタッフ全員で協力しなければなりません。その中で看護師は患者の情報を正確に把握しチーム全体に共有することが求められるポジションとなります。